(株)大川石材の最新ニュースを掲載しております。以前のニュースにつきましては、下記よりご覧ください。
2017年~2018年ニュース:『2017-2018ニュース』
2015年~2016年ニュース:『2016-2015ニュース』
2006年~2014年ニュース:『2006-2014ニュース』
新築の家のシンボルとして、球体を使ったオブジェが欲しいというご依頼を承りました。
その際、下記のようなご要望をいただきました。
・玄関を入って正面にあるピクチャーウインドの外に配置したい。
・石で球体を作ってほしい。
・暗い感じにしたくないので、明るめの色にしてほしい。
ご依頼主様のご家族がいつまでも幸せに仲睦まじくあってほしい。また、小さなお子様もいらっしゃることから、これから更に繁栄していってほしいという願いをこめてオブジェを作成させていただくことにいたしました。
球体と柔らかな多様体によって構成しました。形状としては成長、開花、結実をイメージしています。
窓から見えた時に、軽やかに見えるように脚部を細く、また自然に見えるためにアイアンで作成し、植物のような強弱とゆらぎを付けます。
石は花崗岩でも白く明るい、矢掛石(白)を使用します。表面は艶消しで柔らかな質感の水磨きで仕上げます。
アイアンは矢掛石の色味と合うように、グレーの入った濃い茶色を塗装しています。
家の中心にあって、新しい生活の成長を見守り、安心や調和をもたらす存在であってほしいと思います。
以下、キーワードとなる数字を設定しています。
・球体1(奇数)・曲線の石2(偶数)で、陰陽のバランスをとっています。
・1:生誕、始まりを表します(球体の数)
・2:結びつき、繋がりを表します(多様体の数)
・3:調和、バランスを表します(球体と多様体を足した数)
デザイン画のイラストをもとに図面をおこす際、球体は問題ないのですが、多様体の形状については「この形状で本当にデザイン画のようになるだろうか」と悩みました。頭では形状を分かっていても図面におこすとなると、どこを基準とするか、角度をどうするかなど難しい点がありました。
また、施工については機材の入らない場所への設置でしたので、人力で運ぶしかなく、運搬用の道具をオリジナルで作成しました。それでも心配がありましたが、力のある社員のお陰もあり、問題なく設置することがきました。
難しい課題があり、それを工夫によって解決することはやりがいに繋がると感じます。
今回、アイアンとのコラボをおこなうことで、新しい石の表現に出会えました。
どうしても石だけで完結する仕事が多い中、こういった異素材とのコラボレーションができたことは貴重な機会だったと思います。
アイアン制作担当のスタジオトライアンフ様が課題に対して一生懸命考えてくださったことも、良い作品の完成に繋がったと感じます。
設置が終わり、玄関正面のピクチャーウインドから見えるオブジェはまるで、美術館に飾られた絵の様でした。
球体と多様体の位置関係をシンメトリー崩し型に配しているので、眺める角度により印象が変化する楽しいオブジェとなりました。
ご依頼主様も「石が浮いているようで綺麗ですね。見たことがないオブジェです。」と喜んでくださいました。
石にしかない美しさや存在感をこれからも楽しんでいただけるように、新しいことにもチャレンジしていきたいと考えています。
オブジェ制作協力:スタジオトライアンフ(アイアン) ritsuto design llc.(デザイン)
黄綬褒章とは、業務に奨励して人々の模範たるべき者に与えられる褒章です。
これもひとえに、推薦していただきました関係者みなさまのご支援の賜物だと感謝申し上げます。
12月17日に厚生労働省の中央合同庁舎で褒章の伝達式があり、出席いたしました。
またその後、皇居宮中で最も広い豊明殿において天皇陛下へ拝謁いたしました。
皇居内では一切の写真撮影が禁止のため、画像がございませんが、天井や柱、細かな細工まで全てが名のある名工によって造られたもだと説明を受けました。
その後、陛下が入場され、受賞者と配偶者へ祝辞を賜りました。
今まで頑張ってきたこと、これからも身体に気を付けて続けていってほしいといったお言葉でした。
祝辞の後、陛下は会場内を周って退場されました。たまたま通路の角の席だったことで、間近に拝謁することとなりました。
このような場所へ赴き、天皇陛下への拝謁が叶ったことは、身に余る光栄でした。
改めて、関係者のみなさまにお礼を申し上げます。
また、報道発表後には多くの皆様からお祝いのお言葉をいただきました。厚く御礼申し上げます。
素材にこだわって建てたいということで様々な石材を調べられた結果、庵治石に行きついたそうです。
弊社ウェブサイトの隅々までご覧いただき、「研磨や加工技術の研究をしている。こういう会社に(お墓を)建ててほしい」と思ってくださったそうです。
こだわりを持っていらっしゃるお施主様に、気に入っていただけたことを光栄に感じます。
お父様の建てられたお墓が山の上、それも崖のような場所にあるため「車ですぐに行ける場所に移したい」と考え、新しい墓所を購入されたそうです。
最初の打ち合わせには施主様と共に弟様方も同席していただきました。大分県の現地に何度も足を運びました。
その過程で、お父様の建てられたお墓を拝見しに行った時、思いがけなかった事実に出会います。
お父様の建てられたお墓の竿石が、庵治石の細目だったのです。
施主様はそれを知らなかったらしく、私が拝見し、お伝えしたことで初めて分かったのでした。
父と子で同じ石を選んでいたという事実に、施主様は驚かれていました。
施主様も先祖を思い、良い素材の石を探され“庵治石”に辿り着いてくださいました。
同じように「父も先祖を大切に思ってこのお墓を建てたのだ」と感じて感銘を受けられておりました。
お父様の思いに気付かれた施主様は、古い墓石を処分したくないと感じられました。
当初は予定していなかったのですが、古い墓石の竿石を、新しい墓所に残すことになりました。
現地へ足を運ぶこと、お電話での打ち合わせなどを重ね、2019年9月にお墓は完成いたしました。
本体は庵治石細目最上級材0番を使用、納骨堂・燈籠・墓誌・外柵は庵治石中目最上級材Aを使用いたしました。
また、本式銀杏面、額入れなどの細工を施し、シンプルながらも高級で美しい仕上がりとなりました。
※燈籠にはステンレスの耐震棒が入っております。ロウソクに火を灯すことのできる構造になっています。
今回、本体は庵治石の細目、それ以外は庵治石の中目を使っています。
細目も最上級のものを使用していますし、中目も墓石にも使用できる、最上級のものを使用いたしました。
同じ庵治石だからこその統一感が生まれています。
今回のお施主様は、「良い素材を使いたい」「先祖のために良いお墓を建てたい」という強い思いを持っていらっしゃいました。
大川石材は、このような“こだわり”をしっかりと持たれたお客様にも、心から満足していただけるように、これからも素材と技術、こだわりを実現する力を磨き続けていきたいと思っています。
出展製品
10寸3重台 高級型(16.02才)、庵治石細目(最上級材)
10寸角布団付き4重台 香川型(19.56才)、庵治石細目(上級材)
8寸2重台 神戸型 霊標付き(10.62才)庵治石細目(上級材)
8寸3重台 名古屋DX型 霊標・塔婆立台付き(9.83才)、庵治石細目
8寸3重台 関東型(11.3才)、庵治石中細目
9寸3重台 岡山型(15.71才)、天山石(黒口)
弊社の今年のブース位置が、展示会場入口から入ってすぐだったこともあり、例年よりも多くのお客様にお立ち寄りいただきました。
また、『現代の名工』の看板を出していたことで、お祝いのお言葉をかけていただいたり、新規のお客様をご紹介いただいたりもしました。
みなさまのお心遣いに心から感謝申し上げます。
「高級感や展示内容が大川さんらしいね。」と言っていただけて大変嬉しく思いました。
今年は自社の強みやスタイルについてのパネルを制作いたしました。
『臨機応技』
品質、技巧、納期など、その時その場の状況を読み、最も適切な技術で対応します。
原石から加工、施工まで自社生産の強みを生かした、柔軟な対応力に信頼をいただいています。
相談しやすい顔の見える工場として、お客様の細かなご要望にお応えします。
『適石適所』
価格、サイズ、意匠など、お客様のご要望に叶う石種を確かな知識を以て提案します。
庵治石だけでも43種類の石種を取り扱っています。
価格、サイズ、デザインについてご相談いただければ、豊富な取り扱い石種の中から、適切な石種をご提案します。
販売店様から、
「国産石材を売ってみたいが、お客様に何をどうやって伝えればいいのかわからない。」
「安さで売るのは明確でPRしやすい。けれど、高級な国産石材を売る場合、どうやって売ればよいのか分からない。」
といった相談をうけることがあります。
(株)大川石材では、こういった販売店様の悩みを解決し、売り上げUPに貢献したいと思っております。
高級な国産石材の販売を伸ばすには、国産石材の品質や歴史、どういう場所でどんな人たちが採石しているのか、国内での加工技術は海外と比べてどう違うのかなど、ご購入いただくお客様が納得できる背景やストーリーが必要なのだと思います。
(株)大川石材では、国産石材の特徴に関する説明や、丁場(採石場)の見学、加工工場の見学も可能です。
お気軽にお問い合わせください。
弊社 (株)大川石材 会長、大川等が厚生労働大臣より、平成30(2018)年度の『卓越した技能者(現代の名工)』として選ばれ、この度、厚生労働大臣からの表彰状をいただきました。
『卓越した技能者(現代の名工)』とは、“卓越した技能を有し、その技能の第一人者と目される現役の技能労働者”とされています。
このような栄誉ある表彰をいただけたのも、多くの方々によるご支援のお陰だと感じております。あらためて心より感謝申し上げます。
『卓越した技能者(現代の名工)』の表彰制度は、昭和42年度創設されました。今回の受賞は香川県では43番目、石工では全国で2人目で香川県では初となります。
卓越した技能者表彰の審査には、
(1) きわめてすぐれた技能を有する者、
(2) 現に表彰に係る技能を要する職業に従事している者、
(3) 技能を通じて労働者の福祉の増進及び産業の発展に寄与した者、
(4) 他の技能者の模範と認められる者 との要件を全て充たすと認められ、また、指定機関よりの推薦が必要です。その後、推薦された者のうちから、厚生労働大臣が技能者表彰審査委員の意見を聴いて決定されます。
今回、讃岐石材加工協同組合様、香川県石材技能士会様、香川県、高松市などにご推薦いただきました。
卓越した技能者として認めていただいた事実に対し嬉しい反面、責任の重さも感じています。今は日々、頂いた栄誉をどのようにすればみなさんにお返していけるかと考えています。
被表彰者の功績として「長年石材業に従事し石材加工の全般に精通しており、特に、石材に墨で文字を書いた後にノミとセットウ(ハンマー)、電動工具で文字の部分を彫り上げる手作業にこだわり、手彫による文字彫加工の技能に秀でている。また、自らの手作業の技能の継承と石材加工技術の向上のため、石材店の後継者を自社で修行させたり、技能五輪、技能グランプリ等で入賞者を出すなど、後進の指導育成にも貢献している。」と認めていただきました。
中学卒業後、定時制高校に通いながら、庵治牟礼では一番と言われる親方の元で4年間修行に励みました。優れた親方に付き間近で学ぶことで、知恵と感覚を身につけることができたと思います。
職人の世界は実力と結果がものを言います。若いころは特に悔しい思いも沢山してきました。自分は身体が小さいので、どうすれば身体の大きい人にも負けずに仕事ができるか…など、常に他に抜きんでる手段を考えていました。石の特性を観察したり、道具を見直したり、色々なところでヒントを得て工夫を続けてきました。
機械化の進んだ現代においても、手仕事は原点です。技術的な難題を前にした時は“手仕事”立ち戻ると解決策が見つかります。
また、機械での作業が主流になった今でも、手彫りでしか出せない魅力があります。
丁寧な手彫りの作業であれば、書家の表現を最も再現できると思っています。手彫りでの作業はエア彫りとは違い、身体全体を使い筆の動きに沿って外形を縁取ります。筆の膨らみや力の込められた角などを書の上からもう一度書き出すような気持ちで作業します。また、線の細い部分と太い部分を彫りの深さで表現していきます。仕上げには書家の筆使いに沿ってコタタキをおこない、筆の動きまで表現します。文字は白く映えます。
石に長年携わってまいりましたが飽きることはありません。石には奥深い魅力があります。石の魅力や可能性を伝えていくことが大切だと感じています。
今は、展示会に墓石を出しさえすれば売れていた過去の恵まれた時代とは違います。石に携わる者自身による魅力を伝える努力と、視野を広げ、外部からの新鮮な発想を得ていく必要があります。
技術は発展し、昔はなかった機械も生まれました。昔はできなかったことが現代であればできるかもしれません。
今はまだ分からないけれど、現代の生活に合った石の取り入れ方があるのだと思います。庭には燈籠に代わるもの、壁材や床材以外にも屋内への石の取り入れ方があると思うのです。必然として石が必要とされる新たなシーンを考え、発見していくことができれば、石を必要としてくれる人が再び増えていく可能性があると考えます。
これからも若い人など、業界の後継者の育成に力を入れていきたいと思っています。石材加工の技術の修業、技能士検定の試験官などの役割もありますが、それとともに、子どもたちに石材に関わる仕事のことを知ってもらうための出前講座も継続したいと考えています。子どもたちに小学校の校舎内や、いつも行く公園などを例に「身近なところに石があるんだ」と伝えると楽しんで理解をしてくれます。
逆に、子どもたちを教える中でこちら側がもらえることも沢山あり、石の世界にどっぷり浸かってきた自分たちには生み出せない柔軟な発想とアイデアをもらっています。
『卓越した技能者(現代の名工)』の表彰制度の趣旨に「卓越した技能者を表彰することにより、広く社会一般に技能尊重の気風を浸透させ、もって技能者の地位及び技能水準の向上を図るとともに、青少年がその適性に応じ、誇りと希望を持って技能労働者となり、その職業に精進する気運を高めることを目的としている。」とあります。今回の受賞を踏まえ、更に石材という職業の振興のためにも自分にできる取り組みを続けていきたいと思っています。