香川県高松市牟礼町と庵治町にまたがる五剣山山麓で庵治石は採石されています

香川県高松市の東に位置する牟礼町、庵治町は、南に五剣山(八栗山)の霊峰がそびえ立ち、穏やかな瀬戸内の海に囲まれた町です。
両町にまたがる五剣山の麓で、庵治石の採掘及び加工は行われています。庵治産地は採掘業者が約40社、加工業者が約220社あり、日本三大産地の一つに上げられています。「庵治石」に携わる石工たちは、1200年に及ぶ昔から山の恵みに手を合わせ、丁寧な作業により採石・加工しています。

地形

牟礼町・庵治町の両町は「瀬戸内火山帯」に属し、新生代第三紀(2000万年前)頃にできたものです。この火山帯は紀伊半島を通り、小豆島、五剣山、屋島、五色台、飯山を経て九州まで続いています。
「讃岐岩質安山岩」の岩層は、その下にある凝灰岩や集塊岩からなる火山岩性たいせき岩、さらにその下にある、花崗岩、閃緑岩よりも風化浸食に強く、この安山岩質地帯が広範囲にあると屋島や五色台のような平らな形になり、狭く短いと切り立った五剣山のような形の山になるのです。

地質

庵治石は地質学的に、中生代白亜紀頃約8000万年前に形成された花崗岩で、瀬戸内火山活動を迎えこの地方の花崗岩層に放射状の亀裂を生じたと考えられます。この亀裂が庵治石の岩盤に走る傷です。庵治石の丁場には他の石材産地に比べこの亀裂が多いと言われています。この地域は領家帯と呼ばれる地質構造区に属し平野部も瀬戸内海の島々も花崗岩でできています。
花崗岩は他の深成岩に比べるとその岩体自体が大きく、庵治、牟礼はもちろん、屋島も一つの花崗岩の岩でできているようにも見られおり、両町の地中深くの基盤は花崗岩でできています。
但し、場所によって花崗岩の粒子の大きさや色目が違い、「庵治石」として採掘されているのは細目と中目の良質なものが中心です。

採石

神聖な丁場では、自然の恵みへの感謝と環境へ充分な配慮のうえ、採掘が行われています。
現在採掘している面積は大丁場地区において60万㎡中、約30%、採掘済みの体積は約25%であり(海抜0から考えた場合)、埋蔵量は非常に多く、今後も安定して供給できる体制をとっています。

採石場(丁場)

五剣山から西方向に伸びる尾根に境界があり、北側が庵治町、南側が牟礼町となっています。この境界付近の尾根を「女体山」と呼び、女体山を頂に西方向に「大丁場」、大丁場南側に「中丁場」、北側に「庵治山丁場」が広がっています。
また、牟礼町の久通りの「ときわ橋」から東方向に上がっていくと「野山丁場」があり、この丁場は五剣山の下方向に位置しほとんどが牟礼町の氏神である白羽神社の山林であり氏子によって採石されています。

五剣山

香川県高松市庵治町と牟礼町の境にある山で、山上に五つの大きな峰が剣のように切り立っているので、「五剣山」と呼ばれるようになりました。
八合目に四国八十八ケ所霊場八十五番札所 「八栗寺」 があるので八栗山とも呼ばれています。西から一の峰、二の峰と続き東端の五の峰は宝永(1707)の大地震で崩壊して平らになっています。